あなたは「歯ぐきが腫れて血が出る。」「歯がグラグラする。」といった症状はないでしょうか? そのような症状は歯周病の可能性があります。
歯周病は進行すると、歯を支えている歯槽骨と呼ばれる骨が溶けてしまい、最終的には歯が抜けてしまいます。 30歳代になると、90%以上の方が歯周病になっており、40~50歳代の方が歯を失う原因の約50%が歯周病であるといわれています。
虫歯同様、歯周病に関しても、溶けてしまった歯槽骨を元に戻すことはできません。 歯周病に対しては常に意識し、早期発見・治療とともに定期的な予防を行うことが大切です。
歯周病はこれまでの研究結果より実に様々な疾患との関係性が立証されており、歯周病が与える全身への影響が解明されつつあります。
また、歯周病が「サイレント・アーミー(沈黙の病気)」とも呼ばれるように、初期段階で自覚症状が出づらく放置することで症状を進行させ、全身疾患を引き起こす危険性が常に潜んでいます。
そのため、普段より十分なケアが必要となってきます。
歯周病は次の疾患と深い関係があることが分かってきています。
歯周病は糖尿病の合併症の一つと考えられてきましたが、近年では「歯周病が糖尿病を悪化させている」という逆の関係性も明らかになっています。
つまり、これは歯周病と糖尿病はお互いに悪影響を与え合っているということを意味します。
ただし、これは同時に歯周病を治療することによって糖尿病を改善することができるということも表しており、研究結果によって立証されているのです。
一般に、妊娠するとエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが体内で豊富に生成されるようになり、妊娠終期には月経時の10~30倍となります。
そして、このエストロゲンという女性ホルモンには歯周病原細菌の増殖を促す働きや、歯肉を形成する細胞を侵食する作用があるのです。
そのため、妊娠すると歯肉炎にかかりやすいと言われてきましたが、近年の研究では、妊娠中の女性が歯周病にかかっている場合、低体重児および早産の危険性も高まることが指摘されています。
これは、口内の歯周病細菌が血管を通して体内を巡り、胎盤から胎児へと直接感染することが原因となり起こる現象であると考えられており、その危険率は歯周病にかかっていない時と比べておよそ7倍近くにのぼることが分かっています。
そのため、妊娠中は特に気をつけてプラークコントロールを行う必要があります。
近年の研究より、歯周病が心筋梗塞や脳梗塞の要因の一つとなり得ることが分かってきました。
心筋梗塞や脳梗塞は、血管が狭くなり塞がってしまうことで血液供給が無くなったり、血管が破裂したりする死のリスクを伴う重大な病気ですが、歯周病原因菌が血液内で動脈硬化を誘導する物質の生成を促し、血管の内側にプラーク(脂肪性沈着物)を発生させることで動脈疾患のリスクを高めるのです。
つまり、動脈疾患予防のためにも歯周病の予防・治療が重要となります。
誤嚥性肺炎とは食べ物などの異物を誤って肺や器官に飲み込んでしまうことで引き起こされる肺炎です。
通常、肺や器官は咳をすることで異物が入らないように自らを守る機能がありますが、加齢などによってこれらの機能は徐々に衰え、お口の中の細菌が食べ物などと一緒に肺の中へ入ってしまうことがあります。
誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは歯周病菌であると考えられているため、こうしたリスクを防ぐためにも歯周病の予防・治療が大切です。
プラークコントロールは歯周病のもっとも基本的な治療法です。
口の中の病原性プラークを除去することで無害な細菌グループが支配的になるお口の環境を整えます。
プラークコントロールではまず、正しいブラッシング方法を指導し、歯垢・歯石を取り除くためのお口のクリーニングを行います。
取りきれなかった歯周ポケットの歯石を取り除いていきます。
歯周病の予防には、つまようじを使うようにして歯と歯の間に歯ブラシを押し当てて磨く「つまようじ法」が効果的です。
つまようじ法でのブラッシングによって歯間、また歯と歯ぐきの境目に付着する歯垢を取り除き、歯周病の改善に目覚しい効果を発揮します。
また歯肉へのマッサージ効果もあり歯と歯の間の歯ぐきが強くなります。
つまようじ法のやり方は簡単で、歯ブラシの毛先をつまようじのように見立てて毛先を歯間にグイグイと押し込むだけです。
歯間に入れた毛先は普通の歯磨きのように左右に動かさず、往復運動をするようにまっすぐ引き抜くのがポイントです。
歯間に歯ブラシの毛先を出し入れする要領で、前歯と奥歯の表側・裏側と順番に磨いていきます。
1日に2~3度行うのがオススメですが、時間の無い方は1日1回で構いません。
丁寧に、毎日継続して行い、歯周病から歯を守っていきましょう!
歯周ポケットの奥深くに付着した歯石は、歯ぐきの切開などによって取り除くことがあります。
この時、歯ぐきにメスを入れる目的として主に次の3つが挙げられます。
※歯周病の進行程度により、切開が必要かどうかを判断します。
超音波の器具、または手用の器具を使用し、歯周ポケット内部の歯の表面に付着した歯垢・歯石をとり、歯の表面を滑沢にします。
従来の歯周病治療とは別に、当院では薬剤を用いて治療する新しい歯周病治療を提供しています。
歯周病は感染症の一種であるため、歯周病原因菌に対して専用の薬を塗布することで除菌することができます。
薬を用いた歯周内科治療では、従来の歯周病治療が患者さまに要してきた身体的負担や治療期間などの精神的負担を大きく減少させることができます。
歯周内科治療を受けた患者様が、その後の定期検診で良好な状態で来院される方も年々増えてきています。
当院では、顕微鏡(位相差顕微鏡)を用いて患者さまのお口の中の歯周病原因菌を特定しています。 まず、患者さまの口内の汚れを少量採取し、顕微鏡にて歯周病の原因菌を特定し、当院にて抗菌薬を処方します。処方した薬剤を歯周病の患部へ適用することで除菌を行います。
いかがでしょうか?
ここまでご説明したとおり、歯周病の進行は気づかれにくく、放置しておけばお口だけの問題ではなく様々な全身疾患を引き起こす危険のある恐ろしい病気です。
あなたのお口の中はどうですか?一度、確かめてみてください。
歯の病気に対して、もっとも大切なのは毎食後のブラッシングです。
これらの治療を行うことで症状が改善しても、正しいブラッシングを怠ると、また以前の状態に戻ってしまいます。 正しいブラッシング方法を身に付けて、ご家庭でもきちんと歯磨きすることが歯周病の治療・予防では最も大切です。
当院では予防歯科に力を入れています。正しいブラッシング法やPMTCなどは予防歯科のページで詳しくご説明しています。ぜひ、こちらも合わせてご覧ください。
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