歯を残すこと目標に
痛みの少ない虫歯治療
虫歯治療
虫歯とは、口内の歯垢(プラーク)の中に潜む虫歯菌の出す酸によって歯が溶かされてしまう感染症です。虫歯は自然治癒することがないため、放っておくと症状はどんどん悪化してしまいます。そのため、状態の好ましくない場合にはやむを得えず歯を削ることもあります。
でも、なるべくなら歯は削りたくないですよね?そのためにも、まずはお口の中の衛生管理をしっかり行い、虫歯や歯周病がこれ以上悪化しないように注意しましょう。悪くなってしまったところは、最小限の治療を行っていきます。
当院の虫歯治療の特徴
Point1麻酔に工夫した痛みの少ない治療
痛みが苦手で歯医者に通えない患者さまを一人でも多く救いたいという思いから、当院ではできるだけ痛みの少ない治療に取り組んでいます。
治療の痛みを軽減する方法の一つが麻酔ですが、そもそもその麻酔自体の痛みが嫌だという患者さまがいらっしゃいます。そのため、当院では麻酔注射の打ち方にも工夫をしています。
麻酔注射を打つ時の痛みをやわらげるため、事前に歯ぐきに塗るタイプの表面麻酔を使用します。歯ぐきにあらかじめ麻酔をかけるため、注射を打つ時の痛みが軽減されます。また、麻酔液の注入速度を一定に保つと痛みや不快感をやわらげることができるため、当院では注入速度を一定に保てる電動麻酔器を採用しています。
できるだけ痛みの少ない虫歯治療を提供していますので、痛みが苦手な方もぜひご来院ください。
Point2できる限り削らないMI治療
虫歯の治療と言えば歯を削るイメージがありますが、実は歯は削れば削るほど脆くなり、虫歯が再発しやすくなります。患者さまの歯を長持ちさせるためには、できるだけ削らないほうが良いのです。
そのため、当院では虫歯になっていない部分をできるだけ残し、虫歯の部分だけを削る「MI治療(ミニマルインターベンション)」に取り組んでいます。
天然歯を残すための医療器具
虫歯になっていない部分と虫歯の部分を見分ける方法は、一般的には「う蝕(虫歯)検知液」を使用して虫歯の部分を色付けして判断します。しかし、それでは見た目だけの判別になるため、適切に判断できないことがあります。そこで当院では「ダイアグノデント」という虫歯の部分だけをレーザーで検知し、その大きさを数値化する装置を導入しています。ダイアグノデントは歯にレーザーを当てるだけですので、歯を傷つけることも痛みを感じることもありません。ダイアグノデントで虫歯の残量を適切に把握しながら歯を削ることで、削りすぎや削り残しのリスクを抑えられます。
さらに歯を削るときには、MI治療用の極細のバー(歯を削る器具)を使用して少しずつ丁寧に削り、削りすぎを防ぎます。
患者さまの歯を少しでも長もちさせるために、こうした工夫を取り入れながら、なるべく削らない治療に取り組んでいます。
Point3虫歯が進行しても神経は残せるように
虫歯がある程度進行すると神経部分まで達することがあり、こういった場合は以前は神経(歯髄)ごと取り除く処置(抜髄と言います)が主流でした。
しかし、歯は神経を取ると栄養分が行き渡らなくなり、脆くなってしまいます。脆くなると折れたり、欠けたりするリスクが高まります。
そのため、当院では虫歯菌を無菌化する「MTAセメント」を使った治療を採用しています。MTAセメントには殺菌や神経の保護、炎症を抑える作用があり、歯を削る量を最小限に抑えながら、神経を取らずに治療できる可能性を高めます。
患者さまのお口の中の状態やご希望に合わせながら、できるだけ歯を長持ちさせる適切な虫歯治療に努めています。
虫歯について
虫歯ができる4つの要素
虫歯ができるメカニズムを見ると、「お口の中の細菌」、「糖分」、「歯質」、「時間」という4つの要素が関連していることがわかります。
ブラッシングなどが不十分で、虫歯菌を含む細菌が多いと虫歯が発生しやすいですし、糖分が多いと細菌が歯を溶かす活動が増えて、虫歯リスクが上がります。また、歯質が弱いと虫歯菌が出す酸でダメージを受けやすく、お口の中に糖分がとどまる時間が長いことも状態を悪くする原因となります。
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細菌
お口の中に虫歯の原因となる細菌が多いと虫歯が発生しやすいので、お口を清潔にして菌を減らしましょう。
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糖分
飲食物の糖分は虫歯菌が酸を出す活動の栄養源となります。そのため糖分の取り過ぎは好ましくありません。
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歯質
歯質が弱いと虫歯菌が出す酸で歯が溶かされやすいので、フッ素塗布などで歯質を強化しましょう。
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時間
食後、お口の清掃をしないと虫歯の原因菌が好む環境のまま時間が経過するので、好ましくありません。
虫歯の進行について
虫歯は主に4段階にて進んでいき、徐々に歯の表面から内部へ歯を溶かしながら進んで深い部分に進んでいきます。
これらに加え虫歯になりかけの状態の要観察歯(CO)の段階があり、この状態であれば、ブラッシングや生活習慣により押しとどめることができます。
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C1
エナメル質の虫歯
痛みは少ないが、放っておくと虫歯が悪化してしまう状態です。 この段階の虫歯はエナメル質を削り、CR(コンポジットレジン)というプラスチックを詰めて治します。
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C2
象牙質の虫歯
表面のエナメル質よりさらに奥、象牙質にまで、う蝕が進行した状態です。血管や神経が通っている歯髄があるので痛みが出始めます。治療後は範囲により詰め物などで歯を補います。
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C3
神経まで侵された虫歯
この段階までくると、激しい痛みを感じます。 この段階では神経をとる治療が必要となります。 神経の治療後、被せ物(クラウン)を装着するのが一般的です。
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C4
歯の根まで達した虫歯
歯の根まで虫歯が進行すると、化膿して膿がたまったりします。 最悪の場合、抜歯が必要となります。 抜歯後の選択肢としては入れ歯、ブリッジ、インプラントなどがあります。
虫歯になっていなくても注意
上記の4段階の前の段階、虫歯になりかけの状態の要観察歯(CO)でも注意が必要です。
要観察歯の段階は、自覚症状はなく、痛みもありません。この段階の虫歯は適切なブラッシングと予防処置により、再石灰化して治ります。
しかし、毎日の歯磨きや、オーラルケアを怠れば虫歯は進行していきます。
予防にあたる歯科医院のケアも定期的に受けていきましょう。
神経を残すための治療
虫歯が進行すると、歯の神経を抜く可能性が上がりますが、歯の保存のためには神経を残す方が理想的です。そのため当院では、MTAセメントを使ってできるだけ神経を残し、歯を大切にする治療を導入しています。
MTAセメントとは
MTAセメントは、建築等で使用するセメントと成分が似ていますが、歯科医療用のセメントとして有害物質が無く細かい粒子で構成されたものが、2007年から国内で扱われています。
水と合わせると適度に膨張して細かいすき間を封鎖できるので、歯のヒビや治療後の空間を埋めることに向いています。すべての症例に適用できるわけではありませんが、MTAセメントの登場で、以前は神経を抜いていた症例でも、神経を残せるケースが増えているのです。
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メリット
- 虫歯が深くても、歯を削る量をできるだけ抑え、神経を残した虫歯治療に期待できます
- 治療や通院回数を大幅に減らせられる可能性があります
- 麻酔を使わずに治療できるケースが多くあります
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デメリット
- 進行した重度の虫歯には行えないケースがあります
- 歯が完全に虫歯にならないわけではなく、セルフケアが不十分だと他の箇所から虫歯が発生します
虫歯治療の流れ
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Flow01
虫歯の検査
検査器具やレントゲンで、虫歯の進行度合いを調べます。
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Flow02
治療計画の説明
虫歯がどんな状態なのかをご説明し、治療計画をご案内します。
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Flow03
虫歯の部分を取り除く
虫歯の病巣を取り除きます。歯の神経まで虫歯が達している場合は、神経の治療も行います。
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Flow04
詰め物や被せ物を装着
虫歯の進行度合いや大きさに応じて、詰め物や被せ物を装着します。
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Flow05
再発予防の定期検診
虫歯を再発させないために、定期検診や歯のクリーニングを受けることをおすすめします。
虫歯治療後も予防検診を
残念ながら、虫歯は治療が終了した後も再発することがあります。 そのため、治療後は特にお口の健康管理を継続して行うようにしましょう。
当院では、治療した歯や歯ぐきの状態の検査やメンテナンスを行い、お口全体のクリーニング(PMTC)を行うことで患者さまの理想的なお口の環境を作るお手伝いをしています。
また、歯科医院での定期検診だけでなく、患者さまご自身による自宅でのケアも大切です。 歯科医院とご自宅での日々のケアを通して、常にお口の中を清潔に保つ意識を身につけましょう。
予防歯科